◎ 現物出資財産の 「価格証明制度」



現物出資された財産の価格の証明者に、税理士(法人)が追加されました



◆ この制度の 「 概 要 」


現物出資財産の価格証明制度概要

< 改 正 点 >

  • 検査役の選任を要しない場合の現物出資財産の価額の証明者 (弁護士・弁護士法人・公認会計士・監査法人)に、税理士 ・税理士法人が追加された。(会社法33条・207条)

  • 但し、次の者は財産価格の証明をすることができない。(会社法207条10項)
  • @ 財産の現物出資者又は譲渡人
    A 募集株式の引受人
    B 取締役、監査役、会計参与、執行役、支配人その他の使用人
    C 業務の停止の処分を受け、その停止期間を経過していない者
    D 弁護士法人、監査法人又は税理士法人で、その社員の中にCに掲げる者があるもの
      又は、その社員の半数以上が@からBまでの者のいずれかに該当するもの


    《参考》

    商 法
    (第168条)
    下記の事項はこれを定款に記載又は記録するに非ざれば、その効力を有せず
  • 発起人が受くべき特別の利益及びこれを受くべき者の氏名
  • 現物出資をなす者の氏名、出資の目的たる財産、その価格並びに
    これに対して与える株式の種類及び数
  • 会社の成立後に譲受けることを約したる財産、その価格及び譲渡人の氏名
  • 発起人が受くべき報酬の額



  • ◆ 現物出資財産の 「検査役調査不要制度」

     設立の場合(会社法33条I)増資の場合(会社法207条H)
    募集株式の発行
    @
    割当株数が少数の場合
  • 現物出資者に割り当てる株式の総数が発行済株式総数の10分の1を超えない場合
  • A
    少額な現物出資の場合
  • 現物出資の目的財産の価額の総額が500万円を超えない場合
    (資本金の額にかかわらず)
  • 左に同じ
  • B
    上場有価証券の現物出資の場合
  • 現物出資の目的財産が市場価格のある有価証券(注1)である場合で、受入価額がその市場価格を超えないとき
  • 左に同じ
  • C

    有資格者の証明がある現物出資の場合
  • 現物出資の目的財産の価額について、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人が相当であることを証明した場合
     ※ 但し、現物出資財産が不動産の場合は、不動産鑑定士の鑑定評価も要する。
  • 左に同じ
  • D

    金銭債権の現物出資の場合
  • 現物出資の目的財産が会社に対する金銭債権 (弁済期が到来しているものに限る) であり、受入価額がその金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合

  • ● 上記 Dは、新会社法で新設された項目で、いわゆるデット・エクイティ・スワップ
    において金銭債権をその帳簿価額で実行できることを明瞭にしました


    (注1)上場有価証券のほか、店頭登録の株式等もその対象となり、適用範囲が拡大
     この場合の登記申請に際しては、その価額が相場を越えないことを証する書面として、証券取引所の発行する「証券取引所日報」、「統計月報」、「新聞(株式市況覧)」等を添付することとされている

    ● 新会社法による設立要件の緩和




    現物出資
  • 少額免除 → 資本金の額に関係なく財産の価額が500万円以下
    (資本金の5分の1制限を撤廃)
  • 有価証券 → 市場価格があればよい (取引所相場に限定しない)
    (「店頭登録有価証券」 などが追加)
  • 事後設立
  • 会社成立後2年以内に成立前から存在する財産を譲渡
     (@) 検査役の検査が不要になった
     (A) 総会の特別決議も純資産額の5分の1を超えない場合は不要



  • ◆ 証明業務を行う場合のポイント

    証明方法
  • 資本充実の原則を維持する為、
    @ 財産の所在、A 財産の評価額 の証明が必要

    <例> 金銭債権の証明方法としては、次の証明が必要です。
     @ 財産の所在 ; 契約書や残高確認書による債権などの所在確認の証明
     A 財産の評価額 ; 回収可能性や倒産リスクを加味した現在価値に基づく
      評価額の証明

  • 「評価証明書」 は、会社の設立・新株発行の登記時の添付書類となります
  • 証明責任
  • 現物出資財産の評価が過大であった場合、証明者は、過失がなかった
      ことを証明しない限り、不足額の填補責任、損害賠償責任を負います




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    商法に続き会社法の改正により、現物出資された財産の価格の証明者に税理士(法人)が追加され、
    普段から 法人の設立 や 増資に関わることの多い業務を行っている税理士にとっては 仕事がやり易くなりました。




    mail: hy1950@manekineko.ne.jp
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
    http: //www.manekineko.ne.jp/hy1950/